2012年8月25日土曜日

過剰な潔癖症が健康を害する環境を作る?

ペニシリン、ストレプトマイシン、クロロマイセチンなどといった抗生物質が効かない、院内感染による死亡が増加しているなど、「耐性菌」の問題がクローズアップされています。細菌、ウィルスも含め、「生物は等しく環境適応態(=環境に適応する存在)」ですから、抗生物質に『耐性』をもつ進化種が登場するのも当然のことでしょう。

一般的に世代交代速度の速い生物程、こうした成果は出やすいと云えるでしょう。世間を騒がせたO-157などは、その種の問題事例とみなせる可能性が極めて高いという指摘もなされています。従来の抗生物質が効かない「結核」が脅威になりつつもあるそうです。

こうした耐性菌問題は、別の問題としても浮上しています。人間のご都合主義に見合った、選択的な狙い撃ちのための「防虫剤・殺虫剤・防カビ剤」等が、人間にもマイナス要因として働き始めているのです。

ホルモン撹乱物質の類は、散布される物質が直接的に肉体に悪影響を及ぼすといえますが、過剰投与の結果「新耐性生物の誕生」を促す点も見逃せません。

抗菌ブームに代表される、異常なまでの「潔癖志向」や「健康追求」により防虫剤等を多用することが、逆に生活環境の耐性劣化の原因をなしているのです。すでに殺虫剤耐性のあるゴキブリやダニの「進化種」が登場しているようですが、これに対抗しようとまた薬効が強められることで、問題の傷口がますます広がっていくことが懸念されます。

「程良いところで折り合いをつける」という『新たな価値』も模索していかないと自然から強烈なシッペ返しを受けかねない、と思うのですが…。腸内細菌との共生、土壌細菌・ミミズとの共生など、「自然との共生」という概念を考える場合、こうしたミクロな部分にも「きめ細やかな」視点を持つことが大切だと思います。


小圷敏文

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