2012年9月4日火曜日

遺伝子組み替え食品の問題性

根本的な問題である『生きている状態』について検討してみます。生態系への影響です、モンサント社が開発した万能除草剤とも呼ばれて世界最大の売り上げを記録している強烈な除草剤『ラウンドアップ』に影響されない大豆、これが遺伝子組み替え作物です。この大豆は除草剤ラウンドアップの使用を前提として作付けされることになっており、除草剤の使用はいっそう多くなります。このことは土壌微生物やミミズなどを死滅させ、地下水や河川を汚染するなど自然の生態系や環境破壊を深刻なものにします。しかし、ここまでは他の化学物質のレベルとおなじです(害が少ないといってるのではありません)。

そしてこの『生きている状態』の遺伝子組み替え作物の一つのナタネが、周りの雑草と自然交配して、除草剤に強い雑草ができてしまいました。また、日照りに強い耐干性ナタネを開発したましたが、花粉が飛んでいって水辺に生息しているブラシカという雑草と交配し、干ばつ耐性がついたブラシカは湿地帯から水のない所に移動してしまい、生態系がすっかり変わってしまった、という遺伝子汚染の実例がうまれています。
 
これは、現状の被害度からすると農薬による直接の生物殺傷のほうが大きいのですが、農薬は日に日に希釈され害は少なくなっていきます。先ほどののべた、一般物質の『秩序(高濃度密集)』→『無秩序(低濃度分散)』というエントロピーの法則にしたがって。ところが、組み換え植物や微生物の場合、自己増殖を繰り返し、占有をどんどん広めていってしまうという、一般物質と逆の広がりを示します。

したがって、深刻な害をもたらす組み換え生物が一度野に放たれると、その被害は限りなく広がってしまう可能性が十分にあります。まして、組換え作物は、気の遠く程なるほどかけて自然のなかで適応してきた別系統の、生物の適応性の高い部分のみを集めて作った生物ですから、より適応度が高いのは当然です。

生物は環境に適応してきました、というよりも環境との相互作用の中で生かされてきたのだと思います。それも、きわめてゆっくりとした時間の中で。遺伝子組み替え作物は、生物進化の前提条件である環境との相互作用を無視し、進化の時間を無視した生命を、医薬品生産のような閉じた実験室ではなく、完全にひらかれた自然界に放つことになるのです。

作物そのものの有害.無害が今の科学では予測不十分である以上、新たな生命を自然界に送り出すことはきわめて危険なのではないかと思っています。コンビニ弁当そのものには害がない可能性高いけれども、それの消費量が高まると、その影で、有害かもしれない新たな生命の地上占有を促進することになるのではないかと思っています。
本田真吾

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