2012年9月6日木曜日

食物連鎖上の問題として

>『生きていない状態』の遺伝子組み替え食品の問題は、物質としての毒性把握が主な問題となり、一般医薬品レベルの検査が可能でかつ市場性(食糧危機緩和に対する市場期待への応望という側面も考慮して)にあえば、何らかの可能性があるのではないかと考えています。http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=5749

「除草剤耐性遺伝子の物質としての毒性検査は十分とはいえませんが試験され安全と言われています。」という点は「一般医薬品レベルの検査」で十分でしょうし、この遺伝子が生成する防衛蛋白や殺虫蛋白についても同様の検査が可能でしょう。

しかし、アーパド・パズタイの遺伝子組み換えされたジャガイモによる発育不全や免疫低下を例としたのは、遺伝子の毒性の問題や、これにより生成する殺虫蛋白の毒性の問題ではないからです。毒性検査では、1000倍の濃度でも安全が確認された蛋白を選択した上での影響だからです。

生育状態と生育環境を同等にして、遺伝子組み換えされていないジャガイモ、遺伝子組み換えされていないジャガイモに遺伝子組み換えで発現する量と同じ殺虫蛋白を添加したもの、遺伝子組み換えされたジャガイモの3つを餌にした動物実験です。この際に、遺伝子組み換えされたジャガイモを餌とした場合生じる内臓器官の変化や免疫機能の影響をどう評価するかという問題です。

まず、蛋白やでんぷん、レクチン、トリプシンの阻害、可溶性、インヒビターなどの項目に関して相違が認められたということは、ジャガイモ自身が変異していることを物語っています。この点は医薬品と違うところです。特定の物質を投与したときの影響ではなく、多くの成分が変わってしまったジャガイモが引き起こした影響だからです。

問題は導入した殺虫蛋白の影響に還元できないところにあります。蛋白の存在ではなく、遺伝子組み換え技術そのものによって影響が認められたということです。検査という意味では、遺伝子や導入蛋白ではなく、新しく組成を変えて出現したジャガイモ全体を評価せねばならないという点です。

遺伝子組み換え食品の問題は、遺伝子の毒性や導入蛋白の問題よりも、新種のジャガイモが生じ、それを摂取すること影響が現段階では予測されていない点にあると思います。そして免疫系への影響が、ベクター、またはプロモーター、プラスミドが影響しているのではないかともいわれます。遺伝的影響はどうでしょうか。

>作物そのものの有害、無害が今の科学では予測不十分である以上、新たな生命を自然界に送り出すことはきわめて危険なのではないかと思っています。http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=5749

には同感なのです。
しかし、それは組替えによって生じた植物の他植物との競争がもたらす生態系の変化だけでなく、食物連鎖上に生じる生態系の問題でもあると思われます。「組換え食品の安全性」という問題は、そのような位相にあると思うのです。

余談ながら、この作物の検査において、現代の要素還元的な実証は役に立たないと思いますし、そのような(1000倍の濃度にした毒性検査などの)実験の結果としての安全性は意味を持たないと思います。検査の厳密さについては、本田さんの言われるように、市場性優先と言う問題が大きく横たわっていると思われます。しかし、「一般医薬品レベルの検査」で一定の危険性の確認できるでしょうが、安全とするために必要な項目(特に低濃度での継続的摂取の影響、遺伝的影響)は医薬品の比ではないように思います。この点において、環境ホルモンを連想した次第です。

石野潤

0 件のコメント:

コメントを投稿